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アルペジオからスケールを作る

昨日のブログをTwitterでシェアしたら、思いもかけず、なかなかの反響を頂きました。

こんな地味な内容のものにそれだけの反応を頂けるのはちょっと、いや、だいぶ嬉しいですね!という事で、僕がブログに飽きてしまう前に出来るだけ更新していきたいと思います。


そもそもアルペジオとは?

昨日は「アルペジオの練習がオススメ」という記事でしたが、そもそもアルペジオとは一体何でしょう?

 

詳しい説明はWikipediaにお任せするとして、要はアルペジオ=分散和音の事ですね。

コードの構成音をバラバラに弾いていくのがアルペジオという解釈でOKだと思います。

 

で、コードを構成する和音(トライアドだったら3和音、7thコードだったら4和音、テンションノートが入っていたらそれ以上の時も)は基本的に一音飛ばしで構成されているので(例えばCmaj7だったら、ルートから順にC、E、G、Bの音)その間に欠けている音を足していけばスケールになります、というのが今回のトピックです。

昨日の流れで、今回もAutumn Leavesを例にして説明していきます(今回もクリックで拡大します)。

 

ご存知の通り、一般的に演奏される枯葉のキー(調)はGマイナー。

という事は=平行調でBbメジャーとも取れる訳ですね。

 

まず、いちばん最初のコードのCm7から見ていきましょう。

Cm7の構成音は、ルートから順に

C、Eb、G、Bb

の4音。

 

そこに、枯葉のキーのBbメジャースケールから、欠けている音を補っていきます。

すると、上記の4音の間にそれぞれ

D、F、A

の音が足されていく事になり、

C、D、Eb、F、G、A、Bb

のスケールが完成します。

 

このスケールは何か?と言うと、あら不思議。これがドリアンスケールになっているんですね。

という事で、枯葉のCm7上で使えるスケールはCドリアン、という風に、アルペジオに足りない音を足して行くと解釈出来る訳です。

 

同じようにF7のコードトーン

F、A、C、Eb

に、Bbメジャースケールからの欠けている音

G、Bb、D

を足していくと、

F、G、A、Bb、C、D、Eb

となり、Fミクソリディアンスケールが出来上がります。

 

……といった作業を続けて行い、各コード毎にBbメジャースケールからの音を付け足していきながら割り出した枯葉のスケールがこちらになります!

ちょっとごちゃごちゃしていて見にくいですが、こちらもクリックで拡大します。

 

この方法で気をつけたいのは、

コードトーンのアルペジオに対してあくまでもその曲のその瞬間のキーからの音を足して行く

という事です。

枯葉は曲中のキーチェンジもないので(厳密には部分的にii-Vがあったりしますが)、基本的にはBbメジャーからの音を足していくだけでコードスケールが判明しますが、例えばCharlie ParkerのConfirmationだと、ブリッジで2回転調しているので、その都度転調した先のスケールの音を足していかないと、訳がわからなくなってしまいます。その点だけご注意を!

 

昨日のアルペジオの練習に慣れてきたら、僕はこのスケール練習も織り交ぜながら練習していました。

これも最初は確実に弾いて頭で把握出来るテンポ(当時の僕は75BPMくらい)から始めて、徐々にテンポを上げていくようにしました。

 

譜面の中の*****の箇所は、ちょっとした例外だったり、コードスケールがキー=Bbのダイアトニックコード以外から派生しているスケールだったりという箇所なので、一部例外はありますけど、今の所は「ふ〜ん」程度に眺めておいて下さい。

 

また、今日書いているのはあくまでもアルペジオからのコードスケールの導き出し方なので、ダイアトニックコードの知識がある方にとっては「そんなややこしい事をしなくても……」と思われるかもしれません。

確かにこの方法はちょっとややこしいので(苦笑)ダイアトニックがパッと出て来る方はそれで全然OKです!

 

要は、アルペジオはスケールの骨組みのようなものですよ、というのが言いたかった(だからこそ、昨日のアルペジオ練習は初心者にもオススメ)のかな?と、ここまで書き進めていてようやくまとめられそうです(笑)。


コードスケールは無限大

最後に、今回のコードスケールの記事の中で強調しておきたいのは、

コードスケールに正解はない

という事です。

 

上記の譜面の中のコードスケールはあくまで一例。これらは、音としては外れる事もなく無難かもしれません。だからと言って、このスケールだけしか使えない、という限りでもないのがジャズの面白い所(だからこそ、じゃあ何なら良いの?と迷子になりがちな所も悩ましい所と言えるのかもしれないですけど)。

特に、ドミナント7thコード上でのスケールは、単純にミクソリディアン以外にも様々なスケールが使えたりして、そういう所の音のチョイスが各プレイヤーの個性の一部に結びついているのではないかな?と個人的には思っています。

また、Imのコードを人によってはエオリアン(=ナチュラル・マイナー)ではなく、ドリアンで弾いたり、メロディック・マイナーで弾いたりと、同じコードでも人によって解釈は様々。

 

今回の譜面でも、Aの8小節目、一番括弧内のG7(b9)は、キーからのスケールの割り出しという事で、敢えてナチュラル9thを使ったスケールにしてあったりという事もありますが、これらはまた追々説明していきたいと思います(因みに、このリハモ=reharmonizationも人によってやったりやらなかったり)。

 

という事で、このブログが続く限りは、出来るだけハーモニーの深い所まで掘り下げていけるといいなぁ、と思ってます。そこまで辿り着くのが先か、僕が飽きるのが先か(汗)。

あと、これらの疑問などをレッスンで取り上げるのも大歓迎です。そうだ、これはレッスンサイトのブログだった。今更宣伝!

 

……あっさり書こうと思いましたが、今回も思いの外長くなってしまった。