· 

キーエリアの把握

前回のブログでは、枯葉のそれぞれのコードに対してのスケールを見ていきましたが、今回は、コード毎に使えるスケールを見るのではなく、曲の中でのキー(調性)によって何の音が使えるかを見ていきたいと思います。


キーエリアでの把握は曲を大きく捉えられる

「キーエリア」という表現が正しいかどうかはさておき、曲の中で、どのキーにいるかというのが分かるだけでもウォーキング・ベースやソロの弾きやすさが違ってきます。

 

Giant Stepsに代表されるような、曲中での転調が頻繁にある曲や、Humpty Dumptyのような調性があるのか無いのか分からないような曲のような、いくつかの例外を除いて、世の中の曲の95%以上の曲は明確な調性があって、それに対してコードだったりスケールだったりが決まってきます。

なので、曲のキーを把握する事はとても重要!

 

枯葉は、基本的にはGマイナー(=Bbメジャー)一発で弾き切れてしまいます。

でも、それだとサウンドがいまいちジャズっぽくならないのも確か。

 

そこで、このようにどこでどのように調性が推移しているかをまとめてみると、案外細かく変わっていってますね。

 

基本的にはGマイナー(=Bbメジャー)一発に違いありませんが、Gマイナーへと解決するように向かっていくドミナント7thコードD7(b9)や、IIm7のコードCm7へと向かって解決していくG7(b9)のようなコードの際に、今回は敢えて「to Gm」や「to Cm」という書き方をしました。

と言うのも、ドミナント7thのコードは奥が深く、ここだけで何通りものスケールが使える(という事はスケールの元になっているキーが、それぞれ何のスケールを使うかの考え方によって変わってくる)ので、ドミナント7thのコード上ではスケールからのキーの限定がしにくい、と個人的に思っています。

なので、それを避けるために苦肉の策で「to Gm(Gmへと解決していく)」のような書き方にしました。

 

Aセクションの8小節目のG7(b9)は、人によってはやったりやらなかったりするリハモですので、それをやらないとなると、ドミナント7thとCセクションの3〜4小節目以外はほぼ常にBbメジャー=Gマイナーのキーですね。

Cセクションの3〜4小節目の|Gm7 Gb7|Fm7 E7|も、裏コードを使っているだけで、要はii-Vの連結。こう考えると結構単純ですね。

 

と、曲をキーエリアによって考える事によって、それぞれのコード毎にアプローチするのではなく、もっと大きな調性の中でアプローチしていく事が出来るようになっていきます。


キーエリアの考え方の功罪

キーエリアで曲を大きく捉えるのは、コード一つ一つに対してアプローチしていくよりも広く曲を捉える事が出来るので、比較的簡単な考え方だと思います。

 

ただ、ここで気をつけなければいけないのが、それぞれのコードのサウンドと機能を理解した上でキーエリアでの大きなアプローチに入っていかないと、ただ単純にコード進行の上でメジャースケール(もしくはマイナースケール)を弾いているだけ、というソロになってしまう事です。

曲を大きく捉えるのは簡単ですが、それだけだとつまらないサウンドにもなり兼ねませんので、そういう意味でもスケールから成り立つダイアトニックコードの理解と、そこから派生するダイアトニック・コード・スケールが重要になってくるんですね。

 

「ダイアトニック・コード・スケールなんて、7つも違うスケールの名前がついているけど、結局はメジャースケールと一緒じゃん」と思ってしまう気持ちも分かりますが(苦笑)それぞれのコードに対して何の音がルートになっているのかをしっかり把握しておかないと、何となくスケール内で指を動かしているだけになってしまいますので、各ダイアトニック・コードの機能と一緒に覚えておきたい所ですね。

 

ダイアトニック・コードとそのスケールは、キーが変わっても仕組みは変わらないので(例えばキーAメジャーでのDmaj7はIVmaj7でリディアン、等)覚えておいて、他の曲にも自然に当てはめられるようになると演奏面での余裕がグッと広がります。


因みに、僕の演奏時での考え方は、

・曲のキーエリアを大まかに把握しておく

 ↓

・そこから、各コード毎に、そのキーの中での音の機能(例えば枯葉のCm7なら、=BbメジャーのIIm7のコード、Bbメジャースケールの中の2番目の音のCがルートで順に4、6、1番目の音がコードの構成音、スケールはCドリアン)を把握していく

といった感じです。

 

かっこいい言い方をすれば、キーエリアとコードのハイブリッドなアプローチという事になりますが(笑)上手いミュージシャンは誰でもやっている考え方だと思いますので、皆様も自分が演奏する時に、自分はそれぞれどんなバランスで取り入れているのか考えてみてはいかがですか?